山本弘トンデモ資料展
2005年度版13−E


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[懐疑的に超常番組に突っ込む] トピック
2005年10月06日
14:31
 『奇跡の扉・TVのチカラ』
  山本弘
『奇跡の扉・TVのチカラ』完全透視3時間スペシャル
 10月3日(月) テレビ朝日系列で放映

 昨日、ようやくビデオを見ることができました。霊能者が透視をやった事件は、このうち二つ。

●1996年9月9日
 東京柴又・上智大生殺人放火事件
 小林順子さん(当時21)が自宅で腹を刺されて殺されたうえ、放火されたという事件を、ガブリエル・クロフツが透視。

「男は黒い長袖のシャツを着ているわ。そして濃い色のズボンに黒い布製の靴」

 目撃情報を元に警察が捜しているのは、レインコートの男なんですが?

「布……ライター……」

 ガブリエルのこの発言が、番組中では、犯人がパソコンの布製カバーに火をつけたことを的中させたことにされていた。でも、普通、放火するのは布だろ? 木や金属に放火しないよ。

「男は足元を気にして妙な歩き方をしているの」

 事件現場である2階の焼け跡に、1階にあったはずの父親のスリッパがあったことから、犯人はスリッパを履いて2回に上がったのではないかと考えられている。番組中では、「妙な歩き方」というのは犯人がスリッパを履いていることを透視したのだことにされていた。
 いやいや、ちょっと待て。その前にガブリエルははっきりと、「(犯人は)靴を履いたままよ」と言ってるぞ! 靴の上からスリッパ履いたのかよ!
 だいたい、事件当日は雨である。犯人が土足のまま家に上がったなら、床に足跡が残ったのではないか? 警察が現場検証で気がついたはずでは?

 例によって遺族の前で、「私のことを一生懸命育ててくれてありがとう」などと、殺された順子さんの霊界からのメッセージを伝えるガブリエル。
 いや、そんなことよりも、犯人の特徴をズバリと言ってくれ、順子さん。それで事件は解決なんだから。

 あと、順子さんの母親が、事件の二日前に奇妙な電話がかかっていたのを覚えていたんだけど、相手の名前をどうしても思い出せない。
 そこで、はるばるテキサス州まで飛び、現地の警察で催眠捜査官(Investigative Hypnotist)をやっているマークス・ハウエル元警視に頼んで、逆行催眠をかけて記憶を呼び覚ますことになった。でも、9年も前に一度聞いただけの記憶を呼び覚ますって難しいのでは? 無理に思い出させようとしたら、偽記憶が生じそうだし。
 番組の最初から、母親の記憶の中にある名前が事件の鍵だ!とさんざん盛り上げて視聴者の興味をひっぱる手法。ところが、番組を最後まで見ると、なんと母親を催眠術にかけても名前は思い出せませんでした、というオチ。
 おいおい、3時間ひっぱってこれか! 僕はビデオで飛ばして見てたからいいけど、リアルタイムで3時間見てた人は腹立ったんじゃないだろうか。
 ちなみに番組中では、催眠術で名前が思い出せなかったのは、母親は本当は電話の主の名前を聞いてなくて、聞いたと思いこんでいただけだったと説明されていた。いや、そう断定しては不正確ではないか? 記憶はビデオテープみたいなもんじゃない。本当に忘れてしまって、催眠術でも思い出せないという場合も多いはず。
 番組としては「催眠術でよみがえった記憶は正確」ということにしておきたいのか。

●2000年1月18日
 福島・17歳美少女猟奇殺人
 午後5時30分、友人の車に乗って出かけた山岸亜世美さん(当時17)が行方不明になり、2か月後に山中の川の中で、プラスチックの拘束帯で手足を縛られた姿で発見されたという事件。
 クリス・ロビンソンの透視によれば、事件の鍵を握る人物がいるという。

「それは失踪の夜、亜世美さんを迎えに来た、女性の友人です」

 いや、そんなの霊能力の助けを借りなくても誰でも言えます(^^;)。つーか、警察も真っ先にその友人を調べてるだろ。
 でもってガブリエルと同様、遺族に亜世美さんからのメッセージを伝える。「私はいつもお父さんやお母さんのそばにいます」とか何とか。
 だから、そんなの後でいいから犯人の名前を言ってくれよ、亜世美さん!

 あと、事件当夜に亜世美さんらしき人物がコンビニで梅干を買っていたという証言、司法解剖によって胃の中から食べたばかりの梅干が出てきたことや、亜世美さんの携帯電話が道に捨てられているのが失踪の翌日に見つかったことから、失踪した当日に殺されていた可能性が高い。
 あれ? 先週、ロビンソンは、亜世美さんは最低一週間は犯人に監禁されてたって言ってたぞ。

 亜世美さんとつき合っていたA氏という人物が、亜世美さんの失踪直後に行方をくらましたことから、現地では「A氏が犯人だ」といううわさが流れていて、番組にもA氏を実名で犯人だと名指しする電話が何件も寄せられたという。証言によれば、A氏は元暴走族幹部の粗暴な人物で、番組を見ているかぎり、確かにA氏以外に犯人はありえないような印象を受けた。
 ところが番組の最後に、そのA氏自身から電話があり、自分は事件の3週間も前から横浜に引っ越していて、事件には無関係だと主張。これが事実だとすると、それまでの話はすべてガセだったってことか?

 見ていて気になったのが、このA氏が、先週、再現ドラマに出てきた亜世美さんの交際相手のA氏と同一人物なのかどうか、ということ。先週の再現ドラマではA氏はイケメンの青年、今週はスキンヘッドの暴走族(^^;)。違いすぎ。
 あと、元暴走族でA氏の部下だったというX氏も、先週出てきた亜世美さんの携亜帯電話の名義人の男性X氏と別人なのか。
 別人ならイニシャル変えてもらわないと混乱しちゃいます。

 しかし、死者をムチ打つようで悪いが、亜世美さんっていったい何人の男とつき合ってたんだろうか……?

書き込み
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2005年10月06日
14:51
    1: TIME WANTTO WAIT
レポートありがとうございます。録画したままで見てませんが、骨子がわかりましたので削除します(笑

番組自体には意義があると思いますが、客寄せみたいに「超能力」を使われると、全体が胡散臭くなってしまいますね。こう次から次へと新しい「超能力者」が出てくると、日本に行けばボロ儲けできるぞ、みたいなウワサが世界じゅうに広まってるような感じが。事実そう言ってた人もいたみたいですし。
2005年10月06日
17:32
    2: タナヤン
きちんと話を検証していくと、
同じ放映日なのにえらく矛盾がでてくるのですね。
ありがとうございます。

私も探偵さんや調査員や電話を使っている段階の
行方不明者探しにはとても意義を感じるのですが、
なんでいきずまるとそっちの方向に進んでしまうのが
いっつも残念なんですよ。
2005年10月06日
18:42
    3: 偽史学博士
>なんでいきずまるとそっちの方向に進んでしまうのが
>いっつも残念なんですよ。

もうこれ以上調べても本当のところはわからない、という見切りがつくと今度は何を言っても無問題、という状況に突入する、そこで無責任が台頭するのでしょう。

 人命が関わるところでの無責任は、関係者の心を波立たせるだけですし、すでに亡くなっている人に対しては冒涜以外の何者でもないわけですが、番組制作現場の人も視聴者の多くも、その方面での感性が鈍磨してしまっているということかも知れません。
2005年10月07日
09:01
    4: 山本弘
 同感です。そもそも「再現映像」と称して、犯人が被害者を惨殺したり、血まみれの遺体をひきずったりする場面を作ってテレビで流し、それを平気で見てるってのは、番組制作者も視聴者も感性が麻痺してるんじゃないかと思います。ご遺族にとっては直視に耐えない光景でしょう。

 あと、この手の番組の問題点は、霊能者が実際の犯人とはかけ離れた犯人像を口にしてしまう危険性ですね。それがたまたま実在の人物の特徴と一致してしまったら、その人に疑いがかかるかもしれない。
 今回のA氏の件もそうだけど、TVのミスリードのせいで無実の人に迷惑がかかるかもしれないし、かえって捜査の妨害になるかもしれない。
『新・トンデモ超常現象56の真相』で皆神さんも書いているように、超能力で事件が解決したなんて例はほとんどないんだから。超能力者・霊能者の言うことを信じて犯人探したら、見当違いの方向に行っちゃう確率の方が高いんだから。

 あと、ビデオ見てて気になったのが、先週、ロビンソンが来日したのが「9月8日」、今週、ガブリエルが来日したのも「9月8日」なんですよね。同じ日に日本に来てたの?
 普通なら「2大超能力者の顔合わせ」とかやりそうなものなんだけど、スケジュールが合わなかったのかな?
2005年10月07日
13:44
    5: きくまこ
数あるオカルト系の番組の中でも、制作者側の無神経さでは群を抜いてますよね。
2005年10月07日
17:29
    6: エロの冒険者
 私がこの手の番組を見なくなったのはいつだったか行方不明の子供のご両親に超能力者がいきなり「大丈夫です、お子さんは生きてます」大丈夫じゃねえ、なんてこというんだと仰天したのがきっかけです。

 これはもうオカルトヴァラエティの範囲じゃないでしょう。
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