山本弘トンデモ資料展
2008年度版10−B


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山本弘のSF秘密基地BLOG
2008年09月23日 15:26

9月14日(日)日本のアニメの危機を語る






 この日はと学会例会。 会員が都内某所に集まって、各自が発見した物件を発表し合うのである。
 オタレシピとか上野トランプとかケサランパサラン栽培とかセルフ救霊カードとかミク落語とかニュートリノ紙芝居とか脳波マウスとかインドのスーパーヒーローとかロイ・フォッカー英雄伝とか台湾版絶望先生とかエヌ氏の発明とか金正日4体セットとか乳よ母よ妹よとか昆虫料理とか萌え書道とか9.11バカニュースとか、毎度のことながら、「こんなものが本当にあるんだ!?」「こんなの作る奴いるんだ!?」と驚き感心するものばかり。 (いずれまた『と学会白書』シリーズで単行本になると思うので、それまでお待ちを)
 僕が紹介したのは、前に紹介したKEKで見つけた反相対論本と、こういう本。

 子供は自分が母親の胎内にいた時のことを覚えている、それどころか胎児はすでに母親の言葉が分かるし、母親のへそから外を覗くこともできるというのだ(笑)。
 ちなみに、証言している子供の多くは、3〜4歳ぐらい。うちの子もそうだったけど、わけの分からんタワゴトを喋り出す頃だ。そんなの本気にする方がどうかしている。
 他にも、逆行催眠によって、自分が精子だった頃を思い出した人や、卵子だった頃を思い出した人の証言も。 精子にもみんな魂があるのなら、一回の射精ごとに何億という魂があの世に消えてゆくわけである。
 当然、前世の記憶の話なんかも出てくるんだが、確率から言うと、人間の前世のほとんどは精子ということにならないか?

 毎回、と学会会員でない人もゲストとして参加する。この日のゲストの1人は声優の飯塚昭三さん。思わず「タンクーダ好きでした!」とミーハーしてしまう。

 この日の晩は、と学会有志による合宿である。安い旅館の1フロアを借り切って、深夜までビデオを見たりダベったりという企画。例会では時間が短すぎてできないネタも披露できるのが嬉しい。
 この夜の僕のネタは、

「手書きMADの興隆と日本のアニメ界の危機について」

 ちょっと前まで、MADと言えば本編映像を編集したものが主流だったのだが、最近は自分で(しかもたいてい1人で)アニメを手書きし、TVアニメのOPやEDを模倣する「手書きMAD」が増えてきている。
 以前は『あずまんが大王』や『カウボーイ・ビバップ』のOPのような作画枚数の少ないもの、模倣しやすいものが選ばれることが多かった(『エヴァンゲリオン』のOPも、カット数は多いけど止め絵が多いから、意外に枚数は少ない) 。
 しかし、最近はむしろ、『らき☆すた』『ハルヒ』『バッカーノ!』『ソウルイーター』など、作画枚数の多い、ぬるぬる動き回るOPEDに挑戦するのが、一種のステイタスとなってきている。
 たぶん爆発のきっかけになったのは「はる☆すた」あたりだろうが、「ニニンがニンタマ伝」や「まこにゃんダンス」なんて、初めて見た時は腰が抜けたもんだ。
 最近の傑作は、

「ジョジョの奇妙な冒険でしょでしょ」
「アイドルマスター 菊池真 パンツじゃないから恥ずかしくない誕生日PV」
「グレンラガンをミクレンリンでwith東方」
「マクロスF【射手座】」

 あたりだろうか。枚数は少ないけど、「はてなようせい」のOPを捏造したやつなんかも、けっこう好きだ。(いちいちリンク貼らないので、自分で検索してみてほしい)

 さて、こうした手書きMADは大変に面白いのだが、反面、僕は強い危惧を覚えている。
 ご存知のように、アニメーターというのは3K職業である。低賃金やきびしい労働条件で苦しんでいる人が多い。
 それでも人がアニメーターを目指すのは、アニメが好きで好きでたまらないからだろう。そして、アニメを作るには本職のアニメーターになるしかなかった。だからみんな、苦労するのが分かっていて、アニメーターの道を選んだ。
 今までは。
 だが、もう違う。プロのアニメーターにならなくても、個人でもすごいアニメが創れて、それを全国に(それどころか全世界に)配信できる時代になった。それが傑作であれば、賞賛の声もダイレクトに返ってくる。何十万回も再生され、何万もマイリストに登録される。 これは作者にとってたまらないだろう。
 だいたい、アニメーターになったって、自分の好きな作品や好きなキャラクターを描けるわけではない。地味な仕事やつまらない仕事も多いはずだ。

 だったらわざわざ低賃金で働かなくても、別に本職を持って、余暇にこつこつと個人でアニメ作った方がいいんじゃないの? 自分の好きなキャラクターを思う存分動かせるんだし。

「それにみんなが気がついたらヤバいんじゃない?」
 と言っていた人がいたけど、もう遅い。たぶん、すでにアニメーター志望者の多くはそれに気がついているはずだ。
 これから「本職のアニメーターになりたい」と思う人間なんか現われるだろうか?
 新しいアニメーターのなり手がいなくなる。それどころか、今のアニメーターもどんどん辞めていくと予想される。日本のアニメ界の危機である。
 これをどう食い止めればいいか、僕には分からない。いや、そもそも食い止めるべきなのか。
 これからは新海誠みたいな個人作家が続出し、それを動画サイトでただで見られるのが当たり前になって、商業アニメが廃れてゆくのかもしれない。あるいはすべて海外に下請けに出すようになるとか。
 大変なことだとは思う。しかし、それが時代の潮流だとしたら、どうしようもない。
この記事へのコメント
しゅぎゅこちらでは,初めまして山本弘先生

そうは,言ってもプロになりたいという人はいるのではないんじゃないのでしょうか?

実際,絵の動きのリアリズムや止め絵などのタイミングは,プロのアニメーターから引き継ぐモノがあります。

例えば,沖浦洋之さんなんかは,谷口守泰
さんに始まり色々と人々の修行の果てにあそこまで極限に近い作画技術を作れたんじゃないですか?

後,コミニケーションという立場で考えないと個人でアニメ作ろうとするのは無謀じゃないですか?

アニメは昔から集団作業で作るものですから

例に出しますとコミケでプロ以上の個人漫画て賞賛されてそれで日本の商業漫画は危機に陥ったというものです。

まあ,人材はいりますからねアニメは・・・・・・・・
Posted by ダーク・ディグラー at 2009年01月20日 19:12

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